ルーミー Only Breath ただ一つの息吹 私が一番好きな詩

ルーミー

ジェラール・ウッディーン・ルーミー(1207〜1273)は、スーフィズムの神秘主義詩人です。

およそ800年前の詩とは思えない、古さを感じさせないスケールの詩の数々。

その中で私が一番好きなのが、Only Breathという詩です。

日本語訳の本も出ています。

ただひとつの息がある

私はキリスト教徒ではない
ユダヤ教徒ではない
いいえ イスラム教徒でもない

私はヒンズー教徒ではない
スーフィーではない
禅の修行者ではない
いいえ どんな宗教にもどんな文化にも属していない

東から来たのではない 西から来たものではない

海や大地から生まれたものではない 天界から来たものではない
何かの要素からできているものでもない

この世やあの世に存在するものではない
アダムとイブのような太古の物語と関係はない
いいえ わたしは何者でもない

居場所は定まらない
跡を残すことはない
いいえ わたしは身体でもない 魂でもない

わたしは
愛している
あの人のなかにいます

ふたつにみえて世界はひとつ
そのはじまりもその終わりもその外側もその内側もただひとつにつながる
そのひとつの息が人間の息(いのち)を吹きこんでいます



Only Breath

Not Christian or Jew or Muslim, not Hindu
Buddhist, sufi, or Zen. Not any religion

or cultural system. I am not from the East
or the West, not out of the ocean or up

from the ground, not natural or ethereal, not
composed of elements at all. I do not exist,

am not an entity in this world or in the next,
did not descend from Adam and Eve or any

origin story. My place is placeless, a trace
of the traceless. Neither body or soul.

I belong to be the beloved, have seen the two
worlds as one and that one call to and know,

first, last, outer, inner, only that
breath breathing human being.

from The Essential Rumi,

一時、流浪の人生を歩んだ、ルーミーらしい自由さが溢れた詩ですね。

生きる上で、本当に大切なことって何だろうと思わされてしまいます。

ご飯を作って、掃除をして、働いて、たまにショッピングをしたり、習い事をしたり、日々の暮らしに追われる毎日ですが、一番大切なことを見失わずにいたい。

まだまだ人生、先が長いですから、今の私にはわかりえないことですが、仕事、子育て、家のローンが終わった時、どんな心境になるのかな。何が残るのかな。

その時になったら、自分って一体何だったのか?の答えは出るのかどうか。

もしくはそんな答えはもともとないのかも。

何度も読み返してしまう大好きな詩です。

こちらの本は絵が綺麗なので、何にも考えずにパラパラめくるだけでもいい気分になれる素敵な本です。

ページをめくると、ルーミーの詩と綺麗な挿絵が迫ってきます。

金曜日の夜に、ベッドの中でパラパラめくりながら読むのが好き。

詩集って甘ったる過ぎるか、下品か、意味がわかんないかのどれかだと思っていたけど、ルーミーには裏切られたことなし。

綺麗な世界へ連れて行ってくれる、ルーミーの詩集でした。