何度となくインドの布工房へ足を運び、試験的に生地を数回仕入れることに成功しました。
サンプルも何点か出来上がり、あとは縫製工場を探すだけ。
インドでも縫製はできますが、私は日本国内の小さい縫製工場に依頼したかったんです。
しかし、ここからが長かった。
縫製工場を探し続けて1年間。成果なしの日々が続く。
1年に渡り、何十件もの縫製工場にアポイントを取り、ことごとく撃沈しました。
まずは、メールで連絡してみるが、返信がない縫製工場。
運良く返信だけ貰えても、見積もりもして貰えず、断られた縫製工場。
→これは、縫製工場の得意不得意があるので仕方がないです。
できるかどうか見てみるから、サンプルとパターンと生地見本を送るように言われ、喜んで送ってみたものの、到着の連絡も返事もなし。
2週間以上経ってから、依頼枚数も聞かずにべらぼうな縫製工賃をふっかけてくる工場。
直線縫いのマスク1枚、最低1,200円以上からって、いったいいくらの時給で縫製工賃を割り出しているのか?
サンプルまで作って貰えても、クオリティーが低すぎて、こちらからお断りせざるをえなかった縫製工場。
しかも、サンプルが送り返されるまで、4ヶ月以上かかった…。
おそらく、最初からあまりやる気がなく、暇な時にちょっとやってみてもいいかなくらいの感覚で、後回しにされていたと思われる。
一つの縫製工場から返事が来るまで、次の縫製工場に当たるような不義理はできないので、一つ一つの結果を待っているうちに、1年以上の月日が経ってしまいました。
国内の小さな縫製工場
日本の小さい縫製工場は、海外に仕事を取られて閑古鳥という状況は、既に超えてますね。
経営が立ち行かなくなった縫製工場は既に消えていて、淘汰された縫製工場が残っているようです。
いろいろな小さい縫製工場に当たってみて、感じたこと。
今、生き残っている小さい縫製工場や縫製アトリエは、大きく分けて4つのタイプに分けられると思います。
①得意分野に特化した、ある分野の縫製で定評がある縫製工場
例えば、デニム生地の縫製ならお任せとか、浴衣の縫製ならお任せのような、ある特定の分野の縫製だけを請け負っている小さい縫製工場
自分のところの専門分野以外の依頼は、受け付けない縫製工場が多い。
②圧倒的に高い縫製技術を持つ、小さい縫製工場
まだ日本にも残ってます、この手の小さな縫製工場が。
いろいろなタイプの生地に対応できるし、尚且つ、どのタイプの生地の縫製でも、まさに職人技と言えるハイクオリティーな仕事をする縫製工場。
ある程度の小ロットにも対応してくれる。
ただ、この手の超優秀な縫製工場は、既に多くの固定顧客を抱えており、新規の依頼は受け付けていない場合が多い。
③元テーラーの夫婦が営む、小さな縫製アトリエ
今でも小さな商店街などには見られますが、昔はオーダー紳士服の店舗を構える縫製技術者が多くいました。
時代が変わり、今ではオーダーでスーツを仕立てる人も減りました。
オーダー紳士服では経営が立ち行かなくなった元経営者の縫製技術者が、洋服のサイズ直しなどを請け負ったり、小物などを受注しているケースが多いです。
昔は、人を雇ったり、小さな縫製工場を持っていたという方もおられました。
縫製の技術自体は高いのですが、スーツなどかっちりしたものを得意としているアトリエが多いですね。
今風のカジュアルな普段着を、お直しでなく、一から縫製するのは不得意。
70歳〜80歳の縫製技術者が経営している場合が多く、自分のペースでこなせる受注があれば十分という経営で、量産には対応しない。
④小物や販促品を主に扱う、縫製工場
主に地方の縫製工場で、内職の主婦を下請けに、小物類(シュシュとかポーチなど)や、販促品の布バッグなどを受注している場合が多い。
縫製のクオリティーは、あまり高くない。
ちなみに、私がアポを取ったのは、国内の小さい縫製工場やアトリエだけです。
中規模、大規模の縫製工場は、最初から考えませんでした。
縫製工場や縫い子さんの仲介業者を利用するか検討してみた。
20以上の縫製工場や縫製アトリエにあたって、撃沈。
コネのない私が、自力で縫製工場を見つけるのは無理なのか?
縫製工場や個人の縫製技術者が登録する、仲介斡旋サイトはどうかと調べてみた。
良さそうな縫製技術者様が、たくさん登録されているようだ。
しかし….。どうしても気になる点が2つあった。
①縫製技術者と直接関わることができない
依頼するのに、いちいち仲介業者を通さなければならず、縫い子さんとの直接やり取りが禁止されているようです。
依頼する立場としては、希望する仕上がりに近づけるためには、縫い子さんにわかりやすく細かいところまで説明しておきたい。
メールだけでは、伝わらないことはたくさんありますから。
縫い子さんの方からも、こういう縫い方の方が良いものができるし、縫製もしやすいなどの提案があれば改善していきたい。
何より、直接関われない人に、自分のところの製品を縫製して貰うというのは味気ない。
地方の縫製工場なら、最初はメールや電話のやり取りからでもいいと思います。
でも、ずっとお世話になるなら、やはり縫製の現場は見学に行きたいし、直接お会いして、ご挨拶もしたいですね。
②仲介手数料を2割とられる
仲介業者も商売ですから、手数料を取るのは当たり前だとは思います。
それにしても、2割とは…。
依頼した金額から、2割を引いた金額が縫い子さんに渡るシステムのようですが、縫製の現場の2割は大きいですよ。
縫製単価の相場自体が、安いんですから。
縫製工賃を値切るようなことはしたくありませんし、洋服の相場自体が低いですので、売り手の立場としても、手数料分上乗せして売価を高く設定することは難しい。
今の洋服の相場では、売り手もギリギリのところで価格設定せざるを得ませんから。
クレジットの決済手数料、卸売りした場合のマージンなどを差し引いたら、売り手に残る利益は僅かです。
しかも、この仲介手数料は、初回だけでなく、発注のつど取られるシステムのようです。
以上の2つの理由から、仲介業者を通して縫製工場を探すのは諦めました。
それにしても、コネなしで自分に合った縫製工場を見つけるのは難しい。
国内の縫製工場や、個人事業の縫製技術者たち自身が、みんなで集まって自分たちをアピールするサイトを運営してくれたらいいのに。
それっぽいサイトがないわけではないですが、わかりにくいし、データがアップデートされていないケースもある。
仲介業者がやっているようなことを、縫製工場同士で集まってやればいいのになと思います。
それ以前に、縫製工場さんも、個人経営の縫製技術者さんも、自社のホームページくらいは持たないと、見つけてもらえないのでは?
今の時代、ホームページがない会社は、住所がないようなもので、探したくても探しようがありません。
無料のホームページ作成ツールを使えば、自分で簡単に格安でホームページを作ることもできます。
自分のやりたい事を、もう一度見直す。
あまりに縫製を請けてくれるところが見つからないので、自分が何をやりたいのかをもう一度考え直してみました。
縫製を断られる理由の一つに、ayurclothの生地が手織りで、生地巾が1束分ずつ微妙に異なることがありました。
ayurclothの生地は、オーガニックコットンと手織り生地の特性を活かすため、防縮加工、形状安定加工されていません。
このような生地は、ピシッと形の整った機械織り生地のように何枚も重ねて裁断することができず、手間がかかるので、縫製工場には嫌がられます。
一枚ずつ手染めするため、染めムラもあります。
化学処理を全く施さない生地というのは、こういうものなのですね。
量産できない手紡ぎ手織り手染めの生地は、量産で縫製することもできないわけです。
初心に帰ると、バービー人形服の縫い子さんたちの事が思い出されました。
それなら、腕の良い内職の縫製技術者を抱える、小さな縫製工場をターゲットに探したらどうか?
サンプル作成を手伝ってくれる高齢者の方々にも心当たりはないか聞きながら、更に縫製工場探しは続きました。
→やっと見つけた、ayurclothの縫製工場。働き続けるということ
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