アーユルヴェーダ染め手織り布工房を見学。南インドのケララ・ミールで歓待される。

南インド ミール

布工房のハーブガーデンを案内して頂いた後、南インドの機織り産業を守る活動をしているNGO団体でもあるこの工房が、どのような活動をしているのかお話しを伺いました。

お話しを伺ったのは、NGOの立ち上げメンバーでもあるKuzhivila三兄弟です。

彼らは、私たち日本人に対して、非常に好意的でした。

このNGO団体の立ち上げには、日本政府が財政上、大きなサポートをしてくれたから、日本には恩義を感じていると言います。

立ち上げの際、財政的なサポートだけでなく、日本人女性サポーターが来訪し、様々なアドバイスを親身にしてくれたとのことです。

NGOは、1989年に設立されました。

「もう随分前のことだから、え〜っと名前は忘れちゃったんだけど、日本人の女性が来ていろいろ手伝ってくれたんだよ。日本人の名前、覚えにくいから忘れちゃったんだけど、凄く助けてくれたんだよ。」

「インドと日本は、友達だよね。」と何度も言われ、嬉しくなりました。

私はすぐにでも、詳しい話を聞きたかったのですが、「ランチを用意するから、一緒に食べよう!」と言われ、ランチをご馳走になることになりました。

ケララ州 ミール

もう正午を過ぎてるのに、どうやら今から準備するようです…。

このへんの感覚が、インド人らしいわね。

帰りの時間を気にする私をものともせず、「魚、買ってくるからね!」と次男のクマールがバイクに乗って出かけて行ってしまいました。

食材、今から用意するんかい。

これは長丁場になりそうだと、覚悟を決めました。

待っている間、暇なので、「私、何かお手伝いすることありますか?」と、ご飯の用意をしているおばあさんに話しかけてみました。

おばあさんは、全く英語が通じないようです。

三男のサディーシュが「彼女は英語はノーよ。彼女の旦那さんは亡くなって、仕事なくて困ってたからここでご飯を作って貰ってる。」と、間に入ってくれました。

彼女は、機織りはしないの?と聞くと、「年寄り過ぎて、体力がなくて無理だから。」とのこと。

彼女の他にも、近隣の貧困家庭の住民を、何人か雇っているようでした。

機織りができなくても、ミシンが使えるなら縫い子さんとして、縫い子さんができないなら、お掃除レディーとして。

働きたいという人には、できることをやって貰うようにしていると言います。

「あんたは、ここに座って待ってればいいから。」と椅子を勧められ、壺の中からコップに水を汲んで出してくれました。

アーユルヴェーダ

工房周辺の自然の沢水を汲んで、壺に入れ、飲み水にしていた。

この水が、凄く美味しかったです!

工房周辺はインド政府の保護のもと自然環境を守られているので、水も汚染されていません。

水道水のように消毒もされていないので、本当に美味しい!

美味しい、美味しいとただの水をおかわりする私に、サディーシュが、「ここの蛇口から出る水は全部、この水よ。山の泉から引いてるから無料。」とウインクする。

「日本で買うミネラルウォーターより断然美味しいわ。ごくごく飲めるわ。」というと、

「そりゃ、そうだよ。ここの水は、100%セイフティー。この水で布を染めるんだ。」

水が綺麗な場所じゃないと、植物を使った染色はうまくできないとのこと。

自然の沢水は酵素を含むので、植物の生葉と合わせて発酵させて染め液を作ることができる。

伝統的なアーユルヴェーダ染めの技法では、漂白から仕上げまで、化学的な薬剤を一切使用しないため、生地を柔らかくしたり、アクを抜いたりする工程を自然のものに頼っている。

その工程では、水をたっぷりと使わなければならない。

そのため、消毒されたり汚染された水では、昔からのやり方で布を染めることができないとのこと。

日本でも、本気で草木染めにはまった知り合いが、水の綺麗な田舎に引っ越したのを知っていた。

アーユルヴェーダ染めにしろ、草木染めにしろ、植物の力を布にうつす作業だから、本格的にやろうとすると自然の綺麗な土地でということになるのは当然かもしれない。

サディーシュと雑談しているうちに、クマールが魚を買って戻って来た。

ご飯を用意してくれるおばあさんが、ケララ州のおもてなし料理、バナナリーフをお皿にしたケララミールを作ってくれた。

南インド ミール

南インドのミール。バナナリーフの上にご飯やおかずを乗せて供される

彼らは基本的にはベジタリアンですが、魚は食べるそうです。

魚はこの地域では高級品で、ご馳走だそうです。

「魚売りから、今日、獲ったばかりの魚を買ったから新鮮だよ。」とご自慢の様子。

「このご飯は、無農薬のお米をここの沢水で炊いたもの。日本人はお米好きでしょう?」

「日本は主食がお米だから嬉しいです。インドの人もお米を食べるんですね?」と聞くと、

「南インドはお米も食べるよ。日本人と同じだね。」とまたまた親日な雰囲気です。

「バナナ・リーフをお皿にするのが伝統的なおもてなしのケララ・ミールよ。たくさんあるからお代わりしてね。」

食事をしながら、いろいろ質問される。

「日本の野菜は、農薬をすごく使うって聞いたけど、本当か?」とか、「子供の皮膚病(アトピー性皮膚炎のことと思われる)が多いって聞くけど本当か?」とか「災害で原子力発電所が大変なことになったと聞くけど、状況はどうか」など。

どうやら彼らは、薬物汚染とか、環境汚染とか、アレルギーの病気とか、そういうことに興味があるようだ。

アーユルヴェーダドクター家系の一族だからか、健康オタクのような一面がある模様。

「確かに日本では、普通に買う野菜は農薬を使われているものが殆どです。私が問題だと思うのは、無農薬を謳っている有機野菜でも、肥料などに問題があったりして、本当に自然なものは手に入りづらいしわかりづらくなっていることです。」

「アトピー性皮膚炎の子供も確かに増えています。特に赤ちゃんからアトピーの子供は、お母さんが食べ物をすごく制限されて大変です。」

私がスマホでアトピーの赤ちゃんの画像を見せると、彼らは反応しました。

「これは可哀想だ。皮膚病に効果があるアーユルヴェーダ染めの布がある。インドから輸出するオーガニックコットンは、実は全てがオーガニックではないのが現状だけど、うちの布は本当のオーガニックコットンをアーユルヴェーダの植物染めしてあるから、日本の子供の助けになると思う。」という。

オーガニック・コットンの全てが、実はオーガニックではない?

気になりつつも、帰りの時間になってしまった。

気が付くと、完全に彼らのペースで、NGO団体の活動内容については何も聞くことができなかった。

「じゃあ、また来てよ。」

ということになり、タクシーを手配してホテルに戻ることになった。

なるほど、これが彼らのペースなんだな。

彼らのペースに合わせて、何度も通って信頼関係を築かないといけないようです。

今日は、顔合わせのようなもの。

それでも雑談の中でわかることもたくさんあったし、一緒に時間を過ごすことで見えてくる本当のところもある。

「また、来ます。」

とりあえず、とても歓迎されて、楽しい時間を過ごせたことに感謝の1日でした。

→南インド機織り産業の現状を知る。現地NGOのミッションとは