アーユルヴェーダ染め手織り布工房を見学。ケララ州の豊富なハーブに圧倒される。

アーユルヴェーダ染めハーブ

南インドの機織産業と文化を守る現地NGOを訪問する

再びインドへ渡った私は、あの布工房の責任者にアポを取りました。

「あなたのところの手織り生地は、本当に素晴らしかった。是非、工房内を見学させて欲しい。」

先方は、快諾してくれました。

布工房は、南インドケララ州の自然に囲まれた、緑豊かな環境の中にあります。

ayurcloth

出迎えてくれたのは、現地NGOの立ち上げメンバーであるKuzhivila Family三兄弟。

Trivancore王朝時代から続くアーユルヴェーダ・ドクターの家系で、伝統的なアーユルヴェーダ染めを継承しています。

アーユルヴェーダ染め

現地NGOの工房前で。

南インドの手織り産業を守る活動をしている三兄弟

残念ながら今年、末っ子のサディーシュは亡くなられましたが、今も残された兄弟二人で力を合わせて南インドの手織り産業を守り、伝統的なアーユルヴェーダ染め技法を後世に残すために活動中です。

インド政府公認アーユルヴェーダ染め工房で使われる薬草

工房で染める布のハーブの調合を決めるのは、アーユルヴェーダドクターでもあるラジャンさんです。

ラジャンさんが工房内の、ハーブガーデンを案内してくれました。

アーユルヴェーダ染め アーユルヴェーダ染めハーブ

工房内に生育するハーブの数々

アーユルヴェーダ染めハーブ

可愛い白い花もアーユルヴェーダ染めに使われる

アーユルヴェーダ染めハーブ

南国らしい赤い花は、茎まで染めに使用する

アーユルヴェーダ染めハーブ

効能に合わせて、葉っぱを染めに使ったり、実や茎を使ったりもする




アーユルヴェーダ染めハーブ

アロエベラは漂白にも使用する

布を白く染めたい時は、アロエベラをメインに40〜50種類のハーブやスパイスを調合して白く染め上げるのだそう。

白い布が、たくさんのハーブを使って染められているとは意外でした。

ターメリック

一口にターメリックといっても、インドには様々な種類のターメリックがある

何十種類ものターメリックがあり、それぞれ性質や効能が違い、発色を変えることもできます。

アーユルヴェーダ・ドクターでもあるラジャンは、アーユルヴェーダの知識に基づいて、ハーブを調合し、発色させます。

薬草やスパイスには、それぞれ違った効能があります。

例えば、ターメリックは肌を綺麗にし、解毒作用もあります。

トゥルシーは、不眠症と免疫強化に効果的なハーブです。

布を染める時は、どんな色に発色させるかを考えると同時に、どのハーブの効能を全面的に引き出すかを考えます。

それによってメインにするハーブを決め、次にメインハーブの効能をサポートするハーブやスパイスの調合を決めます。

同じハーブでも、生葉を使用することもあれば、ドライ・ハーブを使用することもあります。

植物の根をパウダー状にしたものも染色に使います。



アーユルヴェーダ染め工房

ラジャンが指差す先には、真っ赤なハイビスカスの木が。

ハイビスカスは、婦人科系に良い効能があるそうです。

アーユルヴェーダ染めハーブ

工房で働く染め職人の男性が、ハイビスカスを摘んで、私にくれました。

「髪に飾れ。」とニコニコしながら、ジェスチャーで伝えてくる。

歓迎してくれているのは嬉しいけど、髪にハイビスカスなど飾りたくないなぁと思いつつ、断りきれず…。

ハイビスカス、髪に飾ったまま見学を続けましたよ…。ええ。

アーユルヴェーダ ハーブ

葉っぱや花だけでなく、木の幹や木の根っこなども、アーユルヴェーダ染めには使われます。

インド政府公認アーユルヴェーダ染め工房であり、NGOでもある工房の周辺10ヘクタールは、インド政府により自然環境を保護されています。

そのため、工房周辺は汚染されることなく、鬱蒼とした緑に囲まれており、いつでもフレッシュなハーブを採取することができます。

アーユルヴェーダ染め

工房周辺は、鬱蒼としたケララの緑に囲まれている

アーユルクロス のインディゴ染めについて

また、アーユルヴェーダ染めでは、消毒されていない自然の沢水を使用することがポイントになるため、工房周辺が汚染されない環境であることは、非常に大切なことだそうです。

例えば、インディゴ染めでは、自然の沢水に含まれる酵素が、インディゴを発酵させるキーとなります。

自然の沢水が手に入らない環境では、インディゴの発酵は上手くいきません。

インディゴ染め

インディゴは壺の中で発酵させる。

壺の中を見せてくれと頼んでみたら、それは絶対にダメだと断られてしまった。

今、壺の蓋を開けたら台無しになってしまうとのこと。

生花なども使って、一から発酵させるのだそう。

インディゴ・ケークスなどは使わず、一番手間のかかる昔から伝わる技法でのインディゴ染めです。

工房周辺で採取できないハーブは、工房から20キロ離れたところにある、ハーブの森から採取します。

薬草とスパイスの90%はケララ州内から、残りの10%は、ケララ以外のインド国内から調達しています。

伝統的なアーユルヴェーダ染めでは、ハーブの生葉も豊富に使うため、フレッシュなハーブが採れるケララ州以外では、成り立たないというのも納得です。

アーユルヴェーダ染め

こちらは今年収穫のハーブたち

布のカラーバリエーションの豊富さは、この多種類のハーブたちからくるものだったのか。

アーユルヴェーダ染め手織り布

ターメリック・サンダルウッド・ニーム・トゥルシー・アロエベラなどで染めた布

ケララ州の豊富なハーブにお腹いっぱい。圧倒された1日でした。



南インドの機織り産業と文化を守る活動について

アーユルクロス では、不定期で展示販売会を開催しております。

展示販売会の日時は、FacebookかInstagramにて告知しております。

展示販売会では、南インドの機織り産業を守るNGOでもあるアーユルヴェーダ染め工房の活動や、アーユルヴェーダ染め、アーユルヴェーダパンチャカルマ体験などのお話会を、現地の写真スライドを交えながら開催しております。

展示販売会では、オンラインショップにはない一点ものや、お得なアーユルヴェーダ染めハギレなども販売しております。

遠方のお客様は、以下アーユルクロス オンラインショップにて、手紡ぎ手織りカディコットンの服は肌着をご購入頂けます。

是非、ご利用下さいませ。

→アーユルヴェーダ薬草染め手織り布製品オンラインショップ

→アーユルヴェーダ染工房を見学。南インドのケララミールで歓待される

→アーユルヴェーダパンチャカルマ体験記